この国に
人はいないのだろうか。
目につく建物の窓は全て開け放たれているのに。人の影はひとつもない。
「・・・イラッシャイマセ、旅人サマ」
どうやらこの国では、全てを機械が行っているようだ。
「入国申請ヲ、シテクダサイ。」
何から何まで機械。
・・・道端の掃除さえも。
「人間が・・・一人。ペットが・・・一匹、と」
「カシコマリマシタ、オトオリクダサイ」
派手な音をたてて、入口の門が開いた。
「トト、ペットはないんじゃない?俺はこんなに大きいのに・・・」
猫とライオンを足して二で割ったような、僕の従者
とても可愛いやつだ。
「たまにはいいんじゃない?ラト。こういうのもさ。」
「フンッ、指差したやつがいたら食い殺してやる。」
「ハハハッ、果たして君にそんな事ができるのかな。」
ラトは鼻を鳴らしてそっぽを向いてしまった。