「そろそろ終わらせたいなぁ。」
過去最長を予感しつつ思う。
俺の名は片桐篤。何かの影響でモテる事ができない男。
「何か思い当たらないのか?」
訊いてくるのは原因の一つの気がしないでもない友人、久保匠。
変人の友人は変人、という図式が成り立っているのではと思うのだが、どうだろう。
「それでですね、片桐くん。」
さっきまで昼食を摂る事に集中していた日下部佳奈理が口を開く。
わかっていたことだがこの娘もなかなかの変人だ。
「中学時代とかはどうだったんですか?」
「さっき言いかけてたのはそれか。」
中学ねぇ…?
思い出す事といえば、男友達と散々遊び回った事。
女の友達もいたけど、あくまで友達。
…恋愛とは程遠いな。
「…あんまり今と変わらない気がする。」
「なるほど、いい友人に囲まれた中学生活だったと。」
図々しいな久保。どの口がそう言うんだ。
「告白とかの経験は無いんですか?」
「…いや、ない、かなぁ?」
「歯切れが悪いな。」
記憶を辿るが、能動的にも受動的にも無かった気がする。
「というわけで片桐の中学時代の友人に来て頂いた。」
「どうもー。」
久保の背後から現れたのは、確かに見覚えのある顔の女…。
「って要!?なんでここにいるんだよ!別の学校だろお前!?」
「いやー久し振りだねぇ片桐。」
期間にすると約四ヵ月ぶり。確かに久し振りだ。
「違う!そーじゃない!」
「じゃあどうだってのよ。」
昔と全く変わらない、さばさばした感じで笑うのは、要未優(かなめみゆ)。俺とは別の進学校に行ったはずだが。
「いや、だからなんでここにいて、なんで久保と結束したかのように現れたんだ。」
「いや、お昼食べに街まで来ただけなんだけどね。」
「片桐に近付こうとしていた所を捕まえさせてもらった。」
…いつだ?俺と久保はしばらく話し続けていた気がするのだが。
「ではでは要さん。」
「はいはいなんでしょう。」
日下部が要に問う。
そういや、要もそれなりに変な部類だったか。波長があってるのかもしれん。
「片桐くん、彼女が欲しいそうなんですが、出来ないんです。」
「それはそれは。」
「中学時代、そういった話はなかったんですか?」
要が楽しげな目で俺を一瞬見つめる。
「じゃぁ一つ二つ話しましょうかね。」
「や、やめろ!?」