「奈緒。」
奈緒と健吾は、ベッドで抱き合っていた。
「ん?」
「哲也と何か訳あり?」
愛撫され、感じながらも、奈緒の頭の中は哲也でいっぱいだった。
「何もないよ?」
「なら、いいけど。」
コンビニから帰りながら、奈緒の様子がおかしいことに、健吾は気付いていた。
けれど、それを追求しようとは思わなかった。
付き合い始めてからも、どことなく、奈緒の気持ちは自分に向いていないと、健吾は感じていた。
同時に、奈緒が自分を好きになろうと一生懸命になっている事にも気がついていた。
そして、何より、奈緒を手放したくなかった。
「奈緒。愛してるよ…」
息が出来ない程のキス。
「…んっ。…健くん…」
数日後、健吾からのメールが、ここ何日かやたらと増えている事に、奈緒は気が付いた。
《今、どこ?》
《本当に、家?》
電話も増えた。
「奈緒。泊まりに来て。」
毎日のように、誘われた。
「今日は無理だよ。週末行くから。」
健吾は、奈緒の腕を引き、キスをする。
「…健くん!…こんなとこで…ん…人に見られる…」
それでも、健吾はやめようとしない。
「…やだ。」
奈緒は顔を背け、健吾から一歩離れた。
「…健くん、どしたの??」
「…ごめん。送るよ。」
2人は無言で歩いた。
数日後、健吾は哲也を呼び出した。
「お前と奈緒って何??」
哲也は冷静に答える。
「友達だよ。なんで?」
「友達…か。
じゃあ、ヤリ友って感じ?」
哲也は耳を疑った。
それでも、奈緒が、そんな事を話す訳はないと確信はしていたので、冷静にに言葉を返す。
「普通の友達!前はよくみんなで遊んで歩いてた。」
それでも健吾の疑いは晴れない。
「奈緒は、お前を好きだって。」
哲也の動きが止まる。
「えっ…?」
「哲也はどう思ってんの?奈緒の事。」
哲也は冷静になろうと必死に自分を押さえようとした。健吾と奈緒に幸せになって欲しい。そう自分に言い聞かせようとした。
なのに…