色々と考えている間に、朝になってしまった。
僕に連絡をくれたって事は、【証明写真】が絡んでいるのだろうか?
あとは、優ちゃんから聞くしかない。
僕はベッドに転がり目を閉じた。眠い訳じゃ無かったが、少しでも頭を冷静にしたかった。
【コッコッ…ブッブ〜ピンポーン】
周囲のあらゆる音を耳が拾いあげる。気持ちが高揚しているのか、神経が研ぎ澄まされている。
カーテンから漏れる光もとても明るく感じる。
【寝なきゃ。少しでも…】
フッと気付くと、時計は一時を指していた。
【もう準備しないと】
急いで準備をし、家を出た。鍵を締めようとした時、日記を忘れた事に気付いた。
【何かの役にはたつかも】
ノートとバックにしまいこみ、僕は家を出た。
電車を乗り継ぎ、約束のファミレスに着くと1時52分を指している。
【危なかった。もう少しで遅刻だった】
コーヒーを注文し、外を眺める。
時計を見ると2時を回っているが、まだ優は現れない。
【どうしたんだ?まさか優ちゃんにも何かあったんじゃ】
再び鼓動が高鳴りはじめた。嫌な汗が額から流れる。
「すいませ〜ん。親が見張ってて、なかなか抜け出せなくて。」
優がきた。約束の時間に45分くらい遅れてだが、安心したのか大きくため息をした。
「心配したよ。昨日の電話の後だし。…理沙が死んだって本当なのか?」
優は下を向き声を震わせ答えた。
「…本当だよ。」
「なんで?原因は?」
少しの沈黙の後に、優は口を開いた。
「理沙…学校の使われて無い。旧校舎の資料室で見つかったんだけど」
力の無い声をさらに絞りだす様に続けた。
「原因は椅子からの転落による事故だって。遺書も無かったし。部屋の中の指紋も足跡も形跡も、理沙一人だけだったみたいで…でも…」
「でも…どうしたの?」
「…でも、落ちだけであんな風になるなんで…」
優の全身が震えだした。「優ちゃん。あんな風ってどういう意味?」
「く、首が体と反対向いてた…」
「えっ!?」
全身に鳥肌がたった。首が後向きって事は、彼の事故死と同じ状況。でも、なんで?
「優ちゃん。つらいとは思うけど、何か聞いてない?」
無言のまま、優は携帯の画面を差し出した。
そこには、理沙から送られてきたメールが表示されていた。