素敵な恋の見つけ方22

あこん  2007-06-02投稿
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「勢いに任せて恋愛ものも書いてみた。」
後悔はややしている。
俺の名は片桐篤。今はいない友人に喝を入れられ、要未優に会いに行く所だ。
「…?」
初めてではないだろうか、ここで久保匠の台詞が入らないのは。
違和感もあるが今日から暫くはしょうがあるまい。奴は今、こんな地方ではなく都心にいるのだから。いや、まだ上空か。
兎も角、要の家に向かう。
十分程歩いたか、要の家が見えてきた所でその家から誰か出て来るのが見えた。
「あ、おーい、要ー!」
ロングの髪は見間違いなく、要未優のものだった。
「う…片桐。」
顔を合わせづらいのか、少し困った顔で手を振る要。
忘れてた、告白未遂があったんだった。ってかそれがあったからここまで来たんだった。
「…で、どうしたの片桐?」
「え?あ、いや…えと、出掛けんの?」
「うん、うちの学校は講習中。私は午後からのを取ってるから。」「そっか。途中まで一緒に行っていいか?」
「あぁ。でも途中までだよ?」
なぜ念押しされたか分からないが頷いておく。
「えーと、早速だがな。」
途中まで、ならそう時間もない。単刀直入に行こう。
「この前の、あれは」
「忘れて欲しい。」
俺の発言を遮って、要が口を開く。
「いや、変な意味で捉えないでよ?片桐の事は嫌いじゃない。」
嫌いではなければ、どうなのか。
「その、昔の話でもあるし、今は、ね。」
言い淀む要。らしくない。
「今は、なんだ?」
だから、聞いてみたくなった。
「…その、彼氏がいるんだ。高校に入ってから告白されて。」
側頭部を叩き付けられたような衝撃にくらくらする。
「こないだのあれは、気が緩んだと言うか、時効と言うか。」
要の表情には、俺には見せた事のない感情が浮いていた。
裏切る事への罪悪感が。現実に裏切っているわけではないのに。
だから、俺は、
「大丈夫だって!その彼氏に言ったりしないし、大体、顔も知らないし!」
要は、真面目な娘だから。
「それにあれだ、俺も要のこと好きだけど、友達として、だし!」
要は、優しい娘だから。
そんな要に、俺は少なからず惹かれていたから。
だから、俺は、自分に嘘を吐く。

要と別れた先で、一人の男が彼女を待っていた。
要は泣いて、彼氏は何事かと思いながらも慰めている。
俺はそんな二人を見て踵を返した。
「お幸せに、要。とその彼氏。」



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