「へぇ・・・・すごいな」
とりあえず家の中に入り応接間に通された。
金持ちの家らしくとても綺麗な調度品が並べてある。
「まあ待っててよ、紅茶か何か持ってくるから」
そう言ってミネは奥へと引っ込んで行った。
ソファーに座る。
ソファーに座る前に、いろんな角度から調べてみて罠が無いか確認する。
罠はないようなので座ることにした。
ソファーにも金がかかっているようですごく座り心地が良かった。
困惑から開放されての束の間の安心感。
しかし、面倒なことになったな・・・・・。
俺がここで雇われる?馬鹿言うな、この家に暮らしてると注意力が強くなりすぎてしんどいっつーの。
「はい、紅茶持ってきたよ〜」
高価そうなティーサーバー、カップとソーサーをトレイに乗せてミネは現れた。
改めてこいつの私服を見たな。
派手でもなく、清楚さを引き出すような服装だ。
こいつの雰囲気からして、ドレスやゴシック系の服を想像したんだが。
でも、服にもやっぱり金がかかってんだろう。
生地を見る限りはすごいブランド物っぽいからな。
でも、金持ちだからってメイドさんが何でもかんでもやってるんじゃないんだな。
ついでにこいつのメイド姿をちょっと想像してしまった。
いかんいかん。俺も若いな。
まあ、メイドと巫女と幼女には男は基本弱いって奴だ。
これは揺るがぬ真理だろう。
偏った人用の真理だが。
ミネが俺と向かい側のソファーに座る。
「それじゃあ、頂くか」
高そうなカップに手を伸ばしてお茶に口をつける。
葉も高級なのだろうが、入れ方もちゃんとした作法の下で作っているんだろう。
とてもいい味がする。
少なくとも、ティーバックに熱湯をそのまま注ぐような俺には決して真似が出来ない味だろう。
「で、ここで働く?どうするの?」
ミネが興味ありげな目で俺を見つめている。
「働くっつったって、一体何をしろってんだよ」
俺に家政婦まがいのことをさせようってのなら無理だぞ。
多少の炊事はできるがあくまで多少だ。
「私、聖(ひじり)ミネのお部屋係」
「具体的に何をすればいいんだ?」
「私が暇なときに相手してくれればいいのよ」
ミネは屈託の無い笑みで答えた。