そっから犬猿の仲、会えば喧嘩ばっかり…ってこともなく
なぜだかまるでずっと腐れ縁してたみたいに普通に喋りかけてきた。
よく言えば屈託のない、悪くいえば横暴なコイツは他の女子に比べてずっと喋りやすくて、下手な友達よりも遠慮せずに済んだ。
だからきっと、セナは女だけど、俺の親友って呼べるもんだって思った。
でも、ちがうんだよな
でかいでかい、てめぇは女じゃねぇ!そう騒ぎ立てたセナの背を追い越したのは中3の夏
いつも見上げてた頭を今度は見下ろすことになり、ムカつくと足を踏まれた。
見下ろしてんだと意識する間もなく、俺の背はぐんぐんと伸び
セナは苦笑いした。
二年前には想像できなかったことだろう
女じゃねぇと思ってたセナは170も越えた俺が見たとき、女の子だった。
首まで全部見えそうなくらい短い髪の毛だって、太陽の光を反射してキラキラしてた。
近づけば、甘いシャンプーの匂いがした。
肩幅だって俺よりずっと…