「あ、ナルセ?」
そのまま別に行きたいわけでもない教室に向かおうとしたら、屋上の鍵を開けたせなが振り向いた。
「何だよ?」
「何でアンタこの高校来たの?」
どこにでもある普通の公立中学からやっぱり普通の高校に
実に平凡な人生に乾杯。
「だってナルセ、剣道で推薦あったんでしょ?」
小学生のころからやってた剣道は体格がよくなるにつれてどんどんと上達していった。
自慢じゃないけど中学の大会なら結構上位にいたし
「もう、飽きたから」
おまえがここに行くって知ったから
飽きたというのは本当。でも半分嘘
本当は夏の県大会で痛めた肘が推薦で高校行って活躍するのを許さなかった。
でもそれはコイツにだけは言いたくない。
セナに弱みはみせたくない
「ほんとに、それだけ?」
「当たり前っしょ?」
他の理由なんてセナだけは知らなくていい