航宙機動部隊第二章・45

まっかつ  2007-06-03投稿
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そして同日正午―\r
目覚めたリクは、食い込んで皮膚を赤くした畳の跡を気にしながら、生来の低血圧との格闘に辛勝し、起き上がった。
再生研磨芳香剤を噛み、パネルカードに命じて、パレオスネッツの平面ホロ番組を標示させた。
檜の薫り漂う洗面台で口を濯ぐ彼の耳に、早速ニュースの声が入る。

(本星史上最悪のテロ行為に、関係者達は一様に動揺を隠せません…)
驚いたリク=ウル=カルンダハラがタオル片手に飛び戻ると、ホロ画像の中では、声も表情も強ばり切った男性キャスターが、有機光媒ボートの原稿を読み上げていた。

(現地よりの知らせによりますと、爆発の被害は会場全体に及び、数え切れない負傷者が出ている模様ですが、今だ確認は出来ていない状況です。司法当局は機動隊・特殊部隊に出動を命じましたが、到着までには時間が…)
『あいつ等、また!?』
リクは思わず顔を引き攣らせた。
太子党は遂に首都星ティヴィタベキアにまで手を出して来たのか!?

(…ここで、現地より中継が入りました。ジョヴァンナ=バウセメロさん、聞こえますか?)
キャスターの呼び掛けに応じて映し出された光景を目にして、少年の肺と心臓は凍りついた石と化した。
全てが白煙にまみれ、誰かの悲鳴とヘリのローター音とが入り混じり、更にやや遠くで燃え盛る炎とけたたましいサイレンの点滅がぼやけた視界を真っ赤に染め上げる。
『これは…これじゃ、戦場じゃないか!』
余りの衝撃に両手を唐机に突いて音を立てさせ、リクは叫んだ。
その戦場の中に、女性レポーターが鉄兜と帯磁防弾チョッキで身を固めた姿を現した。

(テロが発生してから、既に一時間が経ちました。最初大きな爆発があり、次いで複数者による銃撃が始まり、発砲はまだ続いています!)
そこへ、彼女の背後に装甲車が到着し、隊長の鋭い声の元、降りた十名弱の兵士達が、武器を手に煙の向こうへと走り去り―銃撃戦が始まったらしく、女性キャスターは地面にしゃがみ込みしばらく誰も映らなくなってしまった。

(ジョヴァンナさん、大丈夫ですか!?)
二0秒程を経て、画像はスタジオに戻った。

(引き続きこのニュースをお伝えします…あ、只今新しい知らせが入りました。容疑者グループは全員射殺されました。繰り返します。容疑者グループは全員射殺されました!)

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