ナイト・オン・ドラグーン【墜ちる竜】話

みるく  2007-06-04投稿
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『くそ、なんて速さなんだ!』

顔に叩きつけてくる風をアインは腕で庇う。


『異常な速さだ…我を忘れ、暴走しておるからな…』

レグナが面白くなさそうに呟く。

朱き竜の姿は完全に見失ったのだが、吐き出された炎によって煙りが上がっている場所を辿って行った。

『焼き尽くす気だな…全てを…』

『それほど…憎しみが深いのであろうな』


レグナは更に飛行速度を上げた。

『馬鹿が…人に心を許すからだ…』

皮肉に言うレグナだが、その音色は悲しげにも聞こえた。


『で、どうするのだ…?小僧』

『止めるさ!』


『敵を生かして無力化させるのは、殺す事の何倍も難しいぞ?』


確かに、とアインは言葉が詰まる。

『先程、”声”を拾った…』

『声…誰からだ?』


『レオンからだ…アデルを倒せとな』


『え!?そんな事したら…女神の封印が解けるんだろ!?朱き竜が生きているおかげで…』

皆まで言わせずレグナが口を挟む。


『どちらにしても世界は崩壊するぞ?朱き竜が大地を焼き尽くし続けている限り…』


でも、と口ごもった時だった。

レグナの横を朱き影が通り抜けた。

『ぬっ!?』


『朱き竜!!』


レグナは急な方向転換し全身を捻る。


『聞こえるか!!朱き竜!!』

届かないも承知でアインは叫ぶ。

徐々に朱き竜との距離を縮める。

『あなたがした事は偉大だ!俺達人間は、あなたに救われた!』


『だが、今あなたのしていることはただの破壊だ。人を愛したあなただからこそ自らを犠牲になれたんだろう!?』


−黙れ!!!



朱き竜がこちらへと炎を吐き出された。

『小癪な!!』

舌打ちをし、レグナが飛び上がり避けた。

応戦し、レグナが炎を連続で吐き出す。

翼に被弾し、動きを止めたその背中に火炎の爆発が突き刺さった。

『レグナ!?もうよ…』

最後の一撃をレグナが吐き出した所だった。


朱き竜が墜ちてゆく…

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