真昼の繁華街。休日だから人は多い。太陽が落ちてきたような暑さで、みんな日陰や建物の中に隠れている。
黒田幸男は、デパートのエレベーターに乗ると、三階のボタンを押した。エレベーターは二階で一度止まり、三階に着いたときは黒田は死んでいた。頭を思いっきり殴られて死んでいた。
すぐに警察や何やらが駆けつけたが、犯人は結局、見つからないままだ。黒尽くめの大男が立ち去るのが目撃されているが、それだけ。犯人は消えてしまった。
二週間後、公園に住むホームレス、アカジィのテントを、一人の男が訪れた。
「炊き出しはやっていますか?」
それが合い言葉だった。アカジィは公園のトイレにある抜け道を使って、男を“事務所”に案内した。