素敵な恋の見つけ方23

あこん  2007-06-05投稿
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「匠や由良が出ないだけであんな話になるとは。」
テンポの悪いキャラばかりだと改めて思う。俺の名は片桐篤。少し大人になれた気がする高校一年生だ。
『片桐、こちらはとても暑いぞ。』
電話口の向こうで喜々として喋るのは今時のオタク久保匠。
「さようですか。」
『なんだ、生気のない声を出しおって。』
「別に。」
だるくて一日中ごろごろしてるだけだ。
「ところで、何の用だよ?まだ戦時下じゃないのか?」
『うむ、二日目はぶらぶらする程度で構わんのだ。決戦は三日目だ。それはともかく、用件だがな。』
久保はなにやら人の喧騒の中、早足で移動している。
『要未優のことだ。』
うぐ、生傷が抉られるようだ。まだかさぶたにもなっちゃいないのに。
「要が…なんだよ?」『ふむ、家にいる事といい、かなり凹んでいるのといい、ダメだったか。』
「…。」
それだけ察しがいいなら俺の心情も察して欲しいものだ。
『何か買っていくか?』
「いらん!」
そういう気の使い方はいらん。
久保との電話を切って、ベッドに寝そべる。
世間は夏だ。
俺だけ氷河期だ。
どうしてこう、世の中は不公平なのか。
神様は平等だ、とか言う奴、証明したかったら俺に可愛い彼女でもよこせってんだ。
我ながら、心がすれてきたと思っている。
「散歩でもするか。」
ついでにコンビニでアイスでも買って、公園の木陰でゆっくりするのもいいかもしれない。
そうと決まれば、財布と携帯と、後は一応自宅の鍵を持って俺は部屋を出た。

「あち。」
暑い。尋常でなく暑い。
というか熱い。
久保、こちらもすごく暑いぞ。
コンビニまで行く気力が無くなりかねない熱量を浴びせ続ける太陽は、一番高い位置にある。
暑いわけだ。
コンビニにたどり着き、中で涼む。
あぁ、気持ちいい。
そんな中、アイスの陳列された棚を睨み付ける田辺和真先輩を見つけた。
「和真先輩、アイスに何か恨みでも?」
「ん?片桐か。」
和真先輩の視線の先は、ダッツ様。
「買うんですか?リッチですね。」
「妹にな、暑いから買って来いって投げ出された。」
「妹さんがいたんですか。それにしても投げ出された、て。」
「比喩じゃないぞ。ついでに中三だ。」
和真先輩は痛そうに腰を擦っていた。

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