携帯は、バイブ音を鳴らしガタガタと揺れている。
「早く出ろよ!」
「だって、さっきまで繋がらなかったのに…」
「はぁ?また気のせいだよ!!いいから、出ろよ!何かあったら、電話替わってやっから。」
彼の剣幕に負け、携帯を開く。【非通知】
夜中の2時過ぎに非通知…?
通話ボタンを押し、携帯を耳に当てる。
(コツコツコツ…)
足音…?携帯を耳から離してみたが、聞こえない。
このマンションじゃ、ない?
(コツコツ…ガッチャン!ガサガサ…)
何をしているの?耳を澄まして、電話の向こうの音に神経を集中させる。
(ズブッ!!…………)
何も聞こえなくなった。と、思った時
(【ギャーーーーー!!】)
女性の悲鳴が聞こえた。
思わず携帯を手放す。
「おい!どうした?」
私の顔は、蒼白だったろう。 頭が回らず、恐怖で震えるしかなかった。
彼が携帯を持った時には、もう既に通話は切られていた…。
また、半狂乱に陥った私を彼が支えてくれた。
「何が聞こえた?大丈夫か?」
彼の問いかけに、答える気力がなかった。
電話の主は、あの作業服の男なのだろうか?
悲鳴の声の主は、誰なのだろうか?そんな事が頭を回った。
続く