航宙機動部隊第二章・47

まっかつ  2007-06-05投稿
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たった十数秒の待ち時間ですら、重苦し過ぎた。
しかも、その結末には残酷を通り越して、何物かの悪意すら覚かねなかった。

(只今非常時による通信統制によりその番号にはお繋ぎ出来ません…)
無機質な合成音にあっけなく門前払いを喰らわされ、リク=ウル=カルンダハラは歯ぎしりしながら、今度は別の経路へアクセスを命じた。
つけっ放しにされたニュースでは、男性キャスターが、より詳細で深刻な情報を入った順から流し続けている。

(中央政府及び司法当局は緊急事態令を首都星全域に出しました。これにより通信・交通・施設の出入りは検問・検閲等の制限を受けます。星民の方は外出時には必ずIDを携帯し不審者等の情報提供にご協力を…)
不安に締め付けられながらも、それを閉じる分けには行かなかった。
呼び出しを待ちながら、少年はテンペ=ホイフェ=クダグニンについての安否が載せられはしまいかと、画像から目を離せなかった。

(はい、連合艦隊通信管理局…)
『もしもしっ、共和国宙邦観戦武官首席リク=ウル=カルンダハラですが、仲間の公人が一名、首都星に降りたまま連絡が付かなくなりました。テロに巻き込まれたのかも知れません。そちらになにか知らせは入っていませんか?』
応対に出たオペレーターにリクはそれこそかじりつくように問い質した。

(…現在、在ティヴィタヴェキアの我が軍公人は全員回線がロックされて、今だ解除のめどが立っていません―宜しければその方のお名前を―通信環境の回復が出来次第こちらから確認の連絡を入れてそちらにお伝えも出来ますが?)
『テンペ=ホイフェ=クダグニン国家監察官です―はい、分かりました、その様にお願いします』
失望を隠しながら、リクは通話を閉じた。
どれだけあがいても、今の彼に出来る事はこれが限界だった。

いきなり防犯システムが、アラームで複数者の来訪を告げたのはその時だった。
もう一つ追加された2Dホロ画像を見て、少年は総毛立った。
正門に完全武装の兵士が二人、そして、もう一人が裏口に来ているのだ!
慌ててリクは唐机の下からハンドレイとバッテリーを取り出し、安全装置を外した。
首都星のテロがもしも、太子党の画策による物だったとしたら、連中とそれに与する船内警備がそれにかこつけて目障りな自分を始末しに来たのかも知れない。

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