不覚だった…まさか、まさか男子を友達と思ってた僕に、こんな感情が芽生えるなんて。
僕の名前は“秋山 花音”男子と仲が良く、名前と裏腹に性格は荒っぽく男言葉の女子である。
「花音に好きな男子って居ないの?」
男女別れて体育をする時、僕が孤立する事を知っている女子はその隙を狙い聞いてきた。
「え?」
僕が聞き返す。
「だ・か・ら、好きな男子居ないの?」
ふざけて聞いている様だが正直僕は迷ってしまった。男子を友達として考えている僕にとって、男子をそんな対象として見たことが無いのだ。
「居ないかなぁ?」
笑いながら僕が言い返す。
「嘘だぁ!絶対ナオだと思ったのに!」
大げさなリアクションで女子が言いだす。
“ナオ”、そいつは僕と特に仲が良い男子“高杉 直也”の事である。
「まさかぁ〜アイツはどう考えても恋愛対象外だよ!」
また私が笑い飛ばす、心にたまり始めた黒い靄に気付きながら、出来かけの感情に気付きながら。