航宙機動部隊第二章・48

まっかつ  2007-06-05投稿
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そして、程無くしてインターホンが鳴り、鼓動が高まるのを感じつつ、少年が恐る恐る直通回線を開くと―\r

(リク=ウル=カルンダハラ観戦武官首席殿はいらっしゃいますか?)
防犯システムの2Dホロ画像は正門を占領したばかりの彼等の隊長らしき男のアップに切り換わった。
万事休すか―リクは覚悟を決めた。
『はい、ここに居ますが?』
返事しつつも、恐らくは生涯最後の戦闘の用意をする少年に、しかし隊長が放った言葉は連行や突入とは対極の内容だった。

(ご無事で何よりです―小官等は憲兵隊の者ですがご存知の通りパレオス首都星で大規模テロが有りまして要人警護の命を連合艦隊司令部から仰せつかりました。これから我々が貴方の屋敷を警備致します―又外出の際には私等の内必ず一名が同伴する事になります―何かと不自由でしょうが情勢が回復するまでご理解とご協力をお願いします)
敬礼しながら説明する隊長の丁重かつ不自然さのない様子に、リクはほっとしたが、まだ銃と警戒心を降ろし切れなく、
『それは、ここだけが対象なのですか?』

(いえ―ムハマド=ハザイ大佐の指揮の下全ての要人とその居住区画がガードされます―ただ特に貴方達を太子党の襲撃から守って欲しいと連合艦隊司令長官から言われております)
『ネカイア元帥が…』
信頼すべき人名が二つばかり出されて、ようやく少年は安堵した。
どうやら自分の幸運ないし悪運は、まだ尽きてはいないらしい。

ハンドレイの代わりにパネルカードを手に、観戦武官は正門に出て、彼等に会ってみた。
『これはご苦労様です』
謝辞を述べてリクは隊長達に敬礼をした。
『今回のテロについて司令部からは何か知らせは有りましたか?』
『我々も今しがた命令を受領したばかりで、詳しい事は何も知らされてはいないのです』
ジャケット型の耐弾耐電磁スーツに鉄兜・片目にかけた多機能ゴーグルに、手には火薬式ダブルランチャーと言う実に物々しい出で立ちに身を固めた隊長も、そう多くを説明出来る程の情報は持っていないみたいだった。
『じゃあ司令部も、まだ良く分からないんですか…』
そう一人ごちながらも
(ひょっとしたら、分かりたくないだけなのかも、誰がやったのかを)
少年の疑念は再び頭をもたげる。
その時、自身の懐に仕込んだパネルカードが着信音を奏でた。

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