素敵な恋の見つけ方24

あこん  2007-06-06投稿
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「ホラーやファンタジーに走らないように気を付けたい。」
それがひとまずの目標。
俺の名は片桐篤。孤独な夏休みを過ごす高一男子だ。
「片桐、何か買うんじゃなかったのか?」
この目付き悪過ぎる人は田辺和真。一年先輩で顔ほど悪い人ではない。
妹にアイス買いに来てるくらいだし。
「あ、アイスでも買おうかと。」
少しぼうっとしていた俺は、田辺家の妹とは違い某棒アイスを買う。今時こんな丸刈りの少年もいないだろう。
「お、それ美味いよな、俺も買おう。」
同じ物を和真先輩も手に取った。
「あ、どっかで食って行きません?」
「だな。暑い中食うのもいいかもしれない。」
会計を済まし、俺達は近くの公園へ向かう。
ちょうど木陰にベンチがあったので座る。
「…で、どうしたんだ?いつもの片桐と少し違う感じがするが。」
「…え?」
「なんだ、てっきり何か相談事でもあるのかと思ったんだがな。」
この人、何回かしか会った事の無いはずなのに。
「…そんなに、今の俺変ですか?」
「変、というかな。無理に自分を抑えてる感じかな。」
すごい人だ。
他人の事をちゃんと見ている。
「…和真先輩は、確かバレー部の人がなんとか、て言ってましたよね。」
「あぁ、片思い中だよ。とは言え、アプローチなんか出来てないけどな。」
和真先輩は苦々しく笑う。
「フられる、とか考えた事あります?」
「片思いしてる、てのに酷な質問するな。…あるよ、そりゃ何度も。由良に脅された事もある。」
言葉と裏腹に、和真先輩の顔は笑っている。
「…片桐は、その、フられたりしたのか?」
「…。」
無言で肯定を示す。
「…由良ならこう言うな。いつまでもぐじぐじしてないで、さっさと前を向きなさい。ってな。」
確かに、あの先輩の言いそうな事である。
「由良先輩の事、わかってるんですね。」
「そりゃな。伊達に目覚ましやってないさ。」
俺なら、気持ちの届かない人よりも分かりあった由良先輩を選びそうだが、和真先輩は?
「由良先輩の事、好きになったりしないんですか?」
疑問は、考えるより先に声に出ていた。
和真先輩は優しく笑って言う。
「好きだよ。でも、それは友達、親友、相棒。そういったものさ。それ以外の形なんか想像できん。」
和真先輩の傍らの袋の中では、カップアイスが溶けてしまっていた。



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