俺は直感した。
タイムストッパだと。
第三章
正直俺はドキドキしていた。
袋から取り出した小さな箱をじっくりと見つめた。
『タイムストッパ』
白のようなベージュのような箱の表面にはただそれだけしか書かれていなかった。
その箱を開けた。
息が少し荒くなってきたのが自分でも分かった。
中には説明書と錠剤が五錠入っていた。
俺はしばらくそれらを見つめていた。
これが…タイムストッパ…。
五錠のうち1錠だけとり、机の上に置いてあった飲みかけのお茶で飲み込んだ。
今の所何も変わった様子は見られなかった。
俺はふと、窓から外のスズメを見つめた。
目をキッとし、スズメを睨んだ。
スズメはなにくわぬ顔をしながらチョンチョンと歩いていた。
期待した俺がばかだったのか?
そもそもこんなもので、時間なんて止められるはずがない。
急にバカバカしくなってきた。
俺は気分転換にコンビニに出かけた。
煙草と缶コーヒーを買い、店の外に出ようとした時だった。
ドンッ!
後ろから知らない親父がぶつかってきた。親父は、謝りもせずに舌打ちをして足早に歩いて行った。
なんだよ。あの親父!
俺は、信号無視をしながら道路を渡る親父を睨みつけた。
うっ…
俺は一瞬視力を失い、軽い頭痛を感じた。
次の瞬間…親父は片足を地面から浮かせた状態で固まっていた。
キキーッ!! 激しいブレーキ音が響き、鈍い音と共に親父が宙に舞った。
急ブレーキをかけたがトラックは止まれなかった。
俺は恐怖を感じた…いや、快感だったのかもしれない。
これなら…これなら復讐ができる。
俺は微かに震えていた。
そして、もはや生き物ではなくなってしまった親父に微笑みかけ、彼は去っていった。