「トントン」
その音で、僕は眠りの底から意識を取り戻した。容赦のない陽光で揺れる景色のピントを定める。
布団の上に立ち上がり、体がねじ切れんばかりにノビをして怠さを吹き飛ばす。今日も快調だ。
10秒ほどボーっとしてからさっきのノック音を思い出した。目覚まし時計で時刻を確認するが、まだ学生すら登校する時間ではない。
白のTシャツに黒のトランクスという何とも情けない格好だったが、非常識な相手にわざわざ着替えてやるのはムカつく。僕はそのまま玄関に向かった。
周辺のペットボトルやらのゴミを除けてから、ドアを開けた。二人の男が立っている。……誰だ?
一人は見た感じでは30代前半、もう一人は40代半ばくらいだ。どちらもまるで羊を狩ろうとする狼のような目で僕を見つめている。
そのイレギュラーな訪問客に、僕は動揺してしまったが、できるだけ落ち着くように指の感触を確かめる。そして切り出す。
「あのー、何か御用ですか?」
「私たち、こういうもんですがね…」若いほうがそういうと、二人は懐から警察手帳を出してきた。
警察……。
一体何故警察が僕なんかのところに?