驚くほど安い料金を払い、店をあとにした。
ラトはさっきから口をきいてくれない。
「ごめんね、ラト。」
返事はない。
ここで俺の本心が暴発する。
「あのね、ラトが可愛くてさ・・つい。・・・ごめん」
横を見ると「あきれた」
と言いたそうなラトの横顔があった。それでもさっきよりは表情が柔らかい。
まずい。
またここで何かやったりしたら、二度と口をきいてくれないかもしれない。
そっと、その頭を撫でる。
少し驚いた様子だったけど、気持ち良さそうに、目を細める。
よかった。
いつもラトが怒るときは僕が悪いんだけど。
そのまま歩いていくと、
少し広い所にでる。
「ねぇ、トト・・・」
「うん。」
微かに、でもはっきりと、「ソレ」は僕たちの鼻を突く。
火薬の匂い
ーーカチンッ
並の人間には聞き取れ無いようなこの音を合図に、僕とラトはそれぞれ左右に飛びのいた。
一瞬の閃光と衝撃音が、僕がさっきまでいた地面をえぐる。