もしも、その恋の結末が
悲しいものだと分かっていたら。
・・・あなたはその恋を
しますか?
「有里。そろそろ付き合ってよ。」
男は女に歩み寄って、そう言った。
「・・・嫌よ。そう言うのは無しって言ってたじゃない!」
「でも、・・・有里・・・。なんでダメなんだよ!」「・・・そんなこと言うなら、もう会わない。」
「・・・っ。・・・分かったよ。」
「じゃ、またね。」
「・・・ああ。」
二人はそれぞれの家路についた。
男の名前は健吾。一途に有里を想い続けている。
「・・・なんで付き合うのが、嫌なんだ?自分で言うのもなんだけど、・・・。」
二人は知りあってから、
すでに五年はたった。
・・・去年の夏、健吾は有里に告白をした。
しかし、その返事はNOだった。
「・・・何?母さん。」
「ちょっと、病院に渉を
つれてってくれない?」
渉は健吾の弟だ。
「・・・分かった。」
「ちょっと、渉。ここで待ってろ。」
「うん。」
健吾は渉を待ち合いに残して、飲み物を買いに行った。
健吾がある一室の前を通った時だった。
「有里さん。長くて一年、生きれるかだね。」
・・・心臓が鷲掴みにされたようだった。