「ありがとう☆阿部さん」
おーお、嬉しそうにしとるわ。
「かめへん、かめへん」
そーゆうて、格好良く立ち去ったつもりではいてる。うちは、水嶋と別れて校門に向かった。
「早かったんやな」
見ると孝志がすでに門の前で待っとった。
「沙野子さんを待たせる訳にはいけないんで」
「ま、辺り前やな」
「ははっ。さ、お嬢様お乗り下さい」
「いやいや、メイドやから(笑)」
コイツとのボケ突っ込みが定着しつつある。
うちはチャリの後ろに乗った。
「腰に手は回してくれないんですね…」
またしょげとる。
それでもうちの口調は変わらん。
「甘ったれな」
の、一言や。
コイツ、ひょっとして何か期待してるんか〜!?
チャリで10分程度で付いたのが大和中学やった。
(水城の母校やん)
「大田が戻って来たぞ〜」
遠くで何か聞こえる。
「あれが演劇部です」
孝志の視線をたどったら三階の左端の窓から生徒が何名か顔を覗かしてる。
孝志が片手を挙げて合図すると、うちを部室へ案内した。
「ようこそ、演劇部へ!」
そう言って笑顔で出迎えてくれたんは、中々のイケメン君。
中に足を踏み入れると、部員であろう女子と男子二組がペコリと頭を下げた。