うそつき(07

ちぃ  2006-02-26投稿
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走りながら考えた。

私が行ってどうするの?
シュウジには看病してくれる彼女がいるのに。
私が行ったってシュウジを困らすだけじゃんか。

否定的な思いばかりが湧いてくるのに、足は止まらない。
《風邪を引いたのは私のせい》

それだけを武器にシュウジの家のインターホンを押した。一人暮らしのシュウジは案外早くドアを開けた。驚いた顔を私に向ける。

「へ?エリカ?なんでお前…」

…39度も熱があるようには思えないんですけど。っていうか、むしろ健康そのもの…みたいな顔色。

「…シュウジ…風邪で熱…出たって聞いて…」

息を切らしながらそう言うと、シュウジは視線を逸らして髪をくしゃっと掻きあげた。

「…とりあえずさ、うちん中はいれよ」

促されて部屋に入ると、今までプレステをやってた形跡が。…まさか…

「仮病…?」

私の呟きに明らかに動揺するシュウジ。なんか…クラクラしてきた。

「いや…あのさ、昨日…お前に言われたこと考えてたら眠れなくて…で・寝坊して…。めんどくせぇから適当に嘘言ってサボッちった?」

バツが悪そうに笑うシュウジの顔が歪んで見える。なに…目が回って…

「…っエリカ!?」

熱を出したのは私の方。
意識を飛ばしてその場に崩れてしまった。



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