道庁爆破事件は世間を震撼させた。
僕は普段テレビで流れる強盗事件や殺人事件に驚かされることは滅多にない。むしろ、それらの事件の背後関係や警察の対応なんかに興味がある。この件でも事件が起きた当初は、僕とメディアではかなりの温度差があった。
しかし犯人が逮捕されたとき、僕は鉄球が落ちるぐらいの衝撃を受けた。
なんと犯人は16歳の現役の高校生であったのだ。
少年は成績優秀で生活態度も良く、おとなしい性格だったようだ。少年の同級生がテレビごしに「そんなことするような人に思えない」と言っていたのを覚えている。
何故彼は自らの手で爆弾を作り、12人もの命を奪ったのか？
供述した内容はこうである。「僕に彼女ができないのは、北海道が僕の母に海産物の美味さを知らせたせいだ…」
どういうことかというと、彼は人付き合いが苦手で友達も少なく、女性との交際もしたことがなかった。しかしある日、友人の一人がカラオケボックスに同じ高校の女生徒を二人連れてきたのだ。彼はその一人と仲良くなり、頻繁に会うようになった。
もう少しでカノジョと呼べるくらいの関係になって、彼は勇気を振り絞ってその女生徒を自分の家に招いた。
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