素敵な恋の見つけ方28

あこん  2007-06-07投稿
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「この物語は篤の心の成長の物語。」
あとがきモードに入る。まだ終わりは見えないが。
俺の名は片桐篤。とにかくいろいろな人に話を聞こうと思い始めた。
「なんでそこで和真が出てくんのよ?」
笑顔で問うのは宇崎由良先輩。
「あ、いえ。和真先輩はどういう直線なのかな、て。」
田辺和真先輩は、由良先輩とは少し離れて並び歩きたい、と言った。それはきっと恋愛感情ではない。
「…和真、か。」
由良先輩は、身近にいる異性の事はどう思っているのか。急に気になった。
「うん、わかった。」
由良先輩は、以前和真先輩が笑っていたように優しく笑う。
「和真にはね、あたしと平行な直線でいて欲しい。」
平行な二直線が、俺の頭の中の平面グラフに書き入れられる。
「素敵じゃない?重なったり交わる事はないけど、離れることもないの。」
つまり、いつまでも同じ関係を維持するという事…でいいのだろうか。
「そんな関係でいる直線は平行以外ありえないのよ?うん、まさしく和真だわ。」
にこにこと、由良先輩は笑う。
「…なんで片桐、笑ってんの?」
俺も笑ってたらしい。
「由良先輩。和真先輩が、由良先輩のことなんて言ってたか知ってます?」
この二人には敵わないと、心の底から思う。
「並んで歩きたい、て言ったんですよ。」
「…どーいうこと?」
「由良先輩と同じことですよ。付かず離れず並んでいたい、て事だと思いますよ。」
この二人の関係は、正直羨ましい。
本当に、信頼しあった仲なんだと思う。
「は、はは。こりゃ、和真のこと殴っとかないとな。」
照れたように頭を掻く由良先輩。
「二人は、離れちゃ駄目です、絶対に。」
「普通それは恋人の間柄である人間に言うもんだけどね。」
由良先輩は極上の微笑みを浮かべる。
「安心なさい、少なくとも在学中は一緒だから。」
何か、暖かいもので心というか腹の中が満たされる。
「…片桐、ありがとね。」
「え?」
振り替えると、由良先輩は寂しげな表情に戻っていた。
「あんたとは、こないだ交わったんだよね。」
再び平面での話になる。
「人は、いつか離れてしまうものだから。」
確かに、由良先輩の話ではそうなる。
「和真も、あんたとも、平行ならいいとあたしは思うよ。」
由良先輩は悲しげな笑顔を浮かべて、去っていった。



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