プロローグ
私は見た綺麗な虹はそれぞれの輝きを放っていた。でも、その虹は私にしか見えていなかった。
全ては、その虹から始まった・・・
1 学校にて
水居 明良は屋上でぼんやり空をぼんやり見ていた。高校に進学して1ヶ月、未だに友達はいない。友達なんてやっかいだ。決まって何かを邪魔する。だから友達なんて必要ない。そう思って今、ここにいる。今は6月上旬。まだ梅雨に入る一歩手前。少し暑いが、教室にいるよりマシだ。多分中旬頃になれば梅雨になるだろう。今は授業中。だから、屋上にも、校庭にも、誰もいない。静かな午前中だ。今は多分3限目くらいだろう。昼休みは北館にいる。教師だって、もう諦めてる。俺だってこんなことしたくない。でも誰も分かってくれない。どうせ、俺に近寄って来る奴は俺を利用しようとしてる奴だけだ。普段から俺とあいつらの境目を見せておけば、皆近寄って来ない。俺は、一人がいいんだ・・・
風見 遥奈は休み時間、屋上へ向かっていた。何故か誰かに導かれるように・・・足が勝手に動いて行く。着いた。
ガチャッ・・・
「え・・・」
そこには一人の男がフェンスに寄りかかり、ふんぞりかえっていた。
あれは確か・・・?
「水居明良・・・?」
同じクラスでいつも気付いたら居なくなっている奴。
遥奈が空想に入っていると、ゆっくりと明良が遥奈に向かって歩いて来ていた・・・