『革命教団』を名乗るテロリストに取られた人質を救出するため龍雅は単身、廃校内に侵入した。
二階部分に到達すると同じフロアの奥から銃撃戦の音が聞こえて来た。
龍雅は早足で音のする方向に向かう。
龍雅(これは…さっきシェイルが言っていた救出部隊か…)
先程までは暗闇に苦しめられていた龍雅ももうすでに走れるほどまでに目は慣れていた。
次第に駆け足となる足音も近づくにつれて大きくなる銃撃音の前に掻き消されていった。
走ってしばらく経つと複数人の人間がある方向に向かって銃撃しているのが見えた。
その奥には複数の人間がそこで応戦しさらに奥には上階に繋がる階段が見える。
龍雅(もしかして…あそこが屋上に繋がる階段なのか?)
龍雅は近くの教室に飛び込み、入口の扉から様子を伺うことにした。
よく見ると救出部隊は暗視スコープを装着して攻撃しているが、テロリスト側にはそれらを装着している者はいないにも関わらず互角にわたりあっている。
それどころか救出部隊の人数は10人いるのに対しテロリスト側はたったの5人である。
テロリスト側に人的被害が出た形跡も見当たらない。
龍雅はテロリスト側の軽快な動きを見て次のような事を考えた。
龍雅(よく訓練されている…普通のテロリストではないな…)
龍雅は一呼吸をおいて思い出した。
龍雅(これは…大戦初期の革命教団『右派正規軍』が得意としていた戦術…)
龍雅はマカロフの弾層を確認した。
龍雅(右派正規軍…旧政府の公式部隊であり、我々左派の粛清を目的としていた部隊…)
龍雅は教室から飛び出し流れ弾が飛び交う中、一気に走る速度を上げた。
龍雅(…ここを越えて行くしか方法が無いのなら……正面突破を狙うのみ!!)
龍雅は救出部隊のバリケードを飛び越えてテロリスト側の方に向けて六発発砲した。
一発目は外したが残りは全弾相手の体のどこかの部分に命中し、テロリスト側の人間はその場でうずくまった。
救出部隊の人間には一体何が起こったのか理解出来ないようであった。
龍雅はその勢いで一気に屋上部分まで駆け上がった。
屋上に繋がるドアにたどり着くとドアには鍵が掛かっている様子であった。
龍雅はそのドアを蹴破るとそこからまばゆいばかりの光が差し込んで来た。