「実は、その道庁職員は道内出身者ではなく東京都出身だったんだ。そして、当の本人は魚嫌いなんだ。奴は少年の母に対して親切心から適当に焼き魚定食を勧め、母を魚好きにさせた。それがテロを起こすとは思いもよらなかっただろうがな。ともかく奴の無責任な発言によってテロは起きたんだ、俺等もそう確信したよ。そして奴を逮捕した」
僕は口をあんぐりさせていた。それは結果的には悪い方へ繋がったのだろうが、別に道庁職員のしたことに悪意なんかないのに何故逮捕される?いつからこの国ではそんな横暴がなされるようになったんだ?
話は続く。
「だが新たな疑問が浮かび上がった。何故奴は定食屋で焼き魚定食を勧めた?わざわざ自分の嫌いなものを他人に勧めるなんてするだろうか。悪意がなかったのは彼の周りの人物の評価からいっても証明されている。一体どうして焼き魚定食を選んだのか?それは彼の出張先に原因があった…。そう、その出張先がこの町だったんだ。そして、この事件の根源となる原因、それが君の存在だったんだ」