目を開こうとしたら右目に激痛が走った。
「あっ」思わずうめいた声とも言えない音に反応を示したのは警官だった。
「気付いたの?」叔母らしき女性が慌てながら
「ちょっと出て貰えます?」警官にふてぶてと言うと警官は何故か素直に病室から出る。
叔母らしき女性は義母の妹と言う話だが一般的な親戚付き合いなどないからあまりよく知らない。
キンキンと高い声で何か言っているがあたしは体を確認した。足は動く、手は利き手に痛みがあるが動かせないほどでもない。気を失った後切断しかねないから一先ず安心した。
「聞いてるの!」今目が開いただけだというのに当たり前の様に言う叔母らしき女性の方を仕方なく見た。「だから!警官に何を聞かれてもわからないと言うんだよ」語尾は優しそうな猫撫で声だった。
「あんたが本当にあったこと言うと家系から犯罪者が出るでしょ」また世間体の話だ。心配して貰いたくもないが望んでも無駄と分かりきっていることを少し考えた。
返事もしていないのにまだブツブツと悪態を言っている叔母らしき女性が驚いて立ち上がる。さっきの警官とは明らかに見て違う黒スーツの男がいきなり入ってきた。
後からまるで行き場がわからない仔猫みたいにさっきの警官がついてきたから刑事だとすぐわかった。