腰に挿してある長剣を引き抜き、二発、三発と跳んでくる弾丸を弾きながら、回りの戦況を探る。
狙撃主は、二人。
通路に対して前後。
弾を避けながら走ってきた来たラトを踏み台に、向かいの建物の一室に跳躍する。
暗い部屋に、一人の男が銃を構えて座っていた。
狙撃用に作られた長身の銃では、近距離の刀の攻撃に対応できるほど小回りは利かない。
「なぜ僕らを狙うんです?」
返事は無い。
首に突きつけた刀に力を込めながら、
もう一度だけ聞いた。
「なぜ、僕らを撃ったんですか?」
少し間をおいて、ぼそり
「この世界で一番うまい肉は、なんの肉だと思う?」
無言のままの僕に向かって、男は話しだした。
◇
人口100人ほどの、小さなまち。
機械技術が発達し、生活の全ては機械まかせだった。
悪天候が続き、町の人口は少しずつ、でも確実にへっていく。
機械に頼りきりだった住人に、食物をつくる知識はなかったのだ。
とうとう人口が10を切ったある日。
一人の青年が自分の妻を食べた。
それから、また一人。
また、一人
向かいにすんでいた人も、自分の夫を食い殺した。一人
また一人。
のこり三人になった時。
そのうち二人はそとの人間をたべる事にした。
残りの一人は餌にするため、捕えられた。
よく晴れた次の朝。
まちに待った旅人がやってくる。
男を生きたまま解体し、二人はその悲鳴を堪能しながら
店の機械に入れた。