歩いてく。3

ゆずりは  2007-06-09投稿
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次の日の仕事は少しだるかったが何事もなく終えた。そう、何事もなく仕事を終えて彼氏の家に行く。
仕事が終わるのが遅かったため、待っていた彼氏は寝ている。
――良かった。
彼氏と仲良く晩酌…なんて気分にはなれない。

次の日も“お客さん”とちょっとしたメールと電話をした。
「何しとん?寝てたん?」
「家でだらだらしながらテレビ見てたよ。」
彼氏は仕事に行き、もう“家”にはいない。
…胸が痛い。
この関係を続けてはいけない。
彼氏とは四年付き合っていて今だに順調だ。
でもあの時の“お客さん”の顔が頭から離れない。
仕事中もうわの空でご飯があまり欲しくない。
仕事を終え、いつものように彼氏の家へ行く。
顔を見れない。一緒の布団で寝ていると罪悪感で押し潰されそうになる。背中を向けて眠ろうとするが…眠れない…。

昼前に彼氏が起きたのがわかったが寝ているふりをする。
ずっと背中を向けたままだから体が痛い。
彼氏が出掛ける前におもむろに起きて行ってらっしゃいのキスをするがぎこちない。いつもと様子が違う私に彼氏は何も言わない。
出掛けたのを確認して私は携帯を手にする。
伝えずにいられない。
「もしもし」
「おはよ。どうしたん〜?」胸の奥がつまる。それでも大人のふりをする。
「急で悪いんだけどね…」
もう何年もしていない事に戸惑う。
「私…と、真面目に付き合う気ないかなーと思って。」
もう結果はどうであれ彼氏とは付き合っていけない。私はこの人が好き。
「えっ…?」
びっくりしたような“お客さん”の声が聞こえる。胸がきしむ。
「ごめんね。急に。ダメだったらダメでいいんだけど…」
言葉がつまる。でも冷静さを装う。
「………ええよ。」
私は何を言えばいいのかわからなかった。よろしく?それとも何て?
「…………嬉しい。」
言葉はこれしか浮かばない。新しい彼氏の名前は『勇介』。

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