まだ日本が平和だった。町には活気があふれ、みんな笑顔だった。 しかし後に、戦争という恐ろしいものが人々の人生を狂わせた。 そんな時代を生きた、ひとりの少女とひとりの青年の物語。 −昭和初期− 私の名前は相沢つばき。18歳の女学生。 猫と読者が大好き。暇さえあればいつも本を読んでいる。ひそかに『将来は小説家になりたい』と胸をドキドキさせながら思っていたくらいだ。 学校が終わると、実家の経営する旅館を手伝い、大好きな本を読む、そんな毎日を送っていた。
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