シュワシュワと音を立てながら透明な泡が底から沸いてくる・・・キレイな緑色のメロンソーダ。
キレイな緑色のうえにはなめらかなアイボリーの色をしたアイスクリームが乗っている。アイボリーの底は淡く溶けだしている。
ふがいない。
このキレイな緑色に不似合いなカラオケの一室。アタシは少し顔を傾けて見る。テレビ画面に映る演技の下手な女の人。それを見ながら歌う賢人。
アタシの隣で煙草を吸うちぃチャン。ちぃチャンの吸うクールの香りは落ち着く。
そのちぃチャンの隣で眠そうに歌本を引く稜クン。
その前の席に座るキムと治郎クンは相変わらず2人でなにやらギャーギャー言ってる。
本当にみんな自由。
アタシは人間観察を終えるとクリームソーダを突っついた。それを見たちぃチャンが美味しそうだねって言うからアタシは返事の代わりにニッコリ笑って見せた。
気付いたら稜クンが受付と連絡をとるために部屋に備え付けられた電話を取っていた。飲み物でも頼んだろうと思って誰も気にしてなかった。珍しく稜クンが素面なうえに起きてる・・・。
賢人がミスチルを歌い終わって一段落ついたときだった。ドアを2回ノックして店員サンが入ってきた。白シャツにジーパンで黒いエプロンをした店員サンはちょっとだけカッコイイ。
「あ,クリームソーダ。」
キムが店員サンの持つトレーのうえに乗っている緑とアイボリーを見て言った。
ホントだ。稜クンがクリームソーダってちょっと不似合い。と,思ったら稜クンは店員サンが差し出したグラスをちぃチャンの前に置いた。グラスを見ながらニヤッと笑ってどぉぞ,と言う。
「おーっ稜お前気が利くなぁ。そぅいうパターンね。」
キムが突っ込むのはいつものこと。治郎クンは鼻で笑ってる。
相変わらず冷めてるなぁ。そこが逆に絡みやすかったりするんだけど。
「え??何??飲んで良いの??」
ちぃチャンは白い煙を吐きながら言った。
「うん。」
稜クンは頷きながらアタシの前にあるクリームソーダに手を伸ばした。
え??
「じゃあ遠慮なく♪ありがとう。」
ちぃチャンは煙草を消してクリームソーダに手をつけた。
「ていうか稜クン何やってるの??それアタシの。」
アタシの訴えなんて受け入れられるはずもなく,稜クンはアタシの手からスプーンまでも取り上げる。
あー…。と思いつつちょっとうれしい自分がいる。