「あと20分くらいでC駅に着くと思うから来て貰っていいかな。」
「いいですよ。まだ高木さんとは会って無いんですか?」
「携帯つながら無くてさ。」
「高木さんに預けた日記と写真ちゃんと見て下さいね。」
写真?もしかして…証明写真の事じゃないよな。「優ちゃん。その写真って…」
僕は心の中で違うって事を祈った。もしそうだとしても、誰も見ていない事を。
「理沙が撮ってたのですよ。日記に挟まってたみたいで。理沙の親も読んでて、遠野さんに渡して欲しいって」
「その写真ってどんなの?…優ちゃんは見たのかな?」
「証明写真ですよ。3枚あって、ちゃんとは見て無かったんですけど白い光があったかなぁ」
間違いない。あの【証明写真】だ。
ただ…3枚って事は4枚目は?でも良かった。優は4枚目を見ていない。
僕は安心したせいか、その場に座り込んでしまった。
「…良かったぁ。じゃあ、またあとでね。」
「はい。待ってますね」
電話を切り駅にまた向かった。
【高木からまだ連絡がない。どうしたんだ】
僕はまた高木に電話した。
『……おかけになった電話は電波の…』
また留守番になった。優と会ったのだから、帰って来ているのは間違いない。
連絡が取れないって事は多分、充電が無いんだろう。
【少し待ってみるか。】
僕は電車に乗り、優の待つC駅に向かった。
C駅までは約15分。だいたい約束した時間には着きそうだ。
車窓を流れる風景を見ながらボ〜ッとしていると、あのA駅に着いた。
ホームを見ているだけで気が重くなる。
たくさんの人がいるがどれくらいの人が知っているのだろうか?
知らない方が幸せって事もある。
『ドアが閉まります。白線の…』
【次かぁ。待ち合わせは南口?北口?決めたかなぁ?】
電車が走りだした瞬間だった。
反対のホームに改札へ迎う高木が目に写っていた。
【あっ。高木。】と思った時には見えなくなっていた。
高木の地元はA駅だが、今の家は違う。僕はなぜか胸騒ぎを感じた。
携帯を鳴らすがまだつながらない。
理沙の件が終わったら、A駅に行ってみよう。
高木に会わない事にはこの先は進まない。
『まめなくC駅に到着します。降り口は…』
僕はC駅に着き、すぐに優に電話した。