毒舌君主[最終話]

73  2007-06-10投稿
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電話を終え、昭久と由香里はまだ屋上にいた。
昭久の腕の中で今もなお弱々しく震え続ける由香里。
―あぁ、志保。
俺、まだそっちに行けそうにない。
馬鹿な奴らがいてさ…
こいつら心配させたくないし、泣き顔なんて真っ平御免だ。
今の中途半端な俺じゃまだ駄目だ。
もっと歳くって、まるくなってじいちゃんになったらたくさんの土産話持って会いにいくから
―それまで待ってろ

…それにしても不思議な事がある。死のうと思った時に頭ん中に1番に浮かんだのは、修でもなく、志保でもなく、こいつだった。
…悔しいから絶対教えてやんないけど。

―昭久は由香里を抱きしめる腕に力をこめた。


―数年後。
「お母さーん、いつものお話して。」
幼い少女が母親の元に駆け寄る。
「ふふ。いいわよ。お口の悪い王様のお話…ていうか、お父さんとお母さんのラブStoryね☆」
「…おい、子どもになんちゅー話してんだ」
昭久は呆れ顔で言う。
「私達の馴れ初め話を子どもにわかりやすくおとぎ話風にしてみました☆」
「うっとーしい。久しぶりに殺意を感じた」
「ひっどーい!愛する妻に向かって」
そんな由香里を昭久は完璧にスルー。
「それより、麻紀。お父さんが変態自殺娘の話をしてやろーか」
「えー!何?何?」
目を輝かす娘。
「…ちょ!それは、子どもの教育上よくないんじゃないかな!?」
由香里は必死で止めようとする。
そんな姿をみて、昭久は優しくほほ笑んだ。

―昔、あるところに毒舌君主とよばれる本当は優し過ぎるほど優しくて心に深い傷をもった王様がいました。
そんな彼にある少女が恋をします。

―毒舌君主



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