ヤス#62
ヤスは純子の顔を恐る恐る見上げた。
優しく微笑んでいる。どう取ればいいのだろうか。
ヤスは混乱していた。真意を聞きたかったが聞くのが怖かった。
「思い切り勇気を出して言っちゃった。ふふっ。ほっぺに、チュウしていい?」
「うん、いいよ…」
ヤスがそういいながら顔をふりむいた時、純子の唇がヤスの唇と重なってしまった。
「あっ…」
「ホントにチュウしちゃった…」
「母さん…」
「ヤス…」
偶然がセキを切ってしまった。
いつの間にか、二人は唇をすり合わせていた。
ヤスの頭はさくらん状態になっていた。母親とキスするなんてあってはならない事だ。血が繋がっていないとわかっても親子には違いがない。
だが、求めていた。ヤスは母親である純子を求めていた。ヤスはゆっくりと起き上がると、純子に覆い被さる様にして唇を重ねた。
純子はあがらいもせず、ヤスを迎えた。
その口戯は長い時間続き、ようやく離れた時には、互いに肩で息をしていた。ヤスは純子にしがついて乳房に顔をうずめた。
「母さん!」
「わかっていたの。ヤスの気持ちはわかっていたのよ。愛しているわ。あの日からずっと同じ気持ちでいたの…ヤス、こっちに来て」