眩しい微笑み08

 2007-06-11投稿
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僕らはあのこがいる病院に着いた。
受付で聞いた部屋に向かう。
部屋の前に来ると、彼女の手が僕の手を強く握ったので僕も握り返して言った。
「大丈夫です」
「うん・・・」
ミサキさんが病室に入る。
その姿を見て僕は、さっきのミサキさんの手のぬくもりがまだ残る左手を握った。


「こんにちは・・・」
ミサキが小さな声で言ったその視線の先には、例の少年がいた。
頭に包帯を巻き、足を吊り、点滴をさして寝かされている姿で。

ミサキを視界に捕らえた少年が高い声を上げた。
「おねえさん!」
そして、にっこりと笑った。
「ゼンくん・・・」
ミサキが少年の名を呟いた。
その目には涙がたまり・・・零れた。
「!!?どうしたの?おねえさん、なんで泣いているの!?」
少年・・・ゼンが問い掛けても、ミサキは涙を零すだけだった。
「ごめんね・・・」と呟きながら。


どのくらい時間がたったか、ミサキさんが病室からでてきた。
その目は赤く、泣いていたのだと悟った。
「ミサキさん・・・」
彼女の目からまた涙が零れる。

僕はとっさに彼女の手を引くと、人がいない通路に引っ張っていった。
「ちょっと・・・リク?」
まだ涙を零す彼女を、僕は抱きしめる。
彼女を抱きしめるのはもう三回目だ。
あとでミサキさんに殴られるだろう。
でも僕は、泣いているミサキさんをそのままにしたくなかった。

泣いている彼女は本当に消えてしまいそうだから。

だから僕は彼女を抱きしめる。
「リク・・・」
ミサキさんの掠れ気味な声を聞いて、僕は抱きしめる力を強くした。


僕は一体、ミサキさんをどう思っているのだろうか。

自分が、わからない。

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