「帰りたい‥」
そんな気持ちとは裏腹に、大人は勝手に話しを進める。
なんて勝手なんだろう。こんな無愛想で意地悪そうな人とよくお見合いさせるの?
私の気持ちなんて考えてない。私は悲しくてたまらなかった。私はうかない表情を浮かべていた。
大人の余計な配慮により、私達はふたりっきりにさせられた。
沈黙が続く。この嫌な間。
話しを切り出したのは、あの男だった。
唐突に
「親が勝手に決めた事で、俺は全くその気ないから。」と冷たく私に言う。
その生意気さ、妙に腹が立った。
負けていられない私は
「その言葉、そっくりそのままお返しします。私も全くその気はありませんから。」と強く反抗。
男は少し驚いた顔をし、私を睨んだ。
私は後先考えずその場から立ち去った。無我夢中、家までの長い道のりをただひたすら歩き続けた。
その夜、私は両親にこっぴどく叱られた。
私は叱られつつも、何ともいえない達成感を感じていた。お互い興味がなく、その気がないのなら話しは早い、しかも私はお見合い放棄した脱走犯。お見合い円満不成立!でしょ、と内心すごく喜んだ。
が、
数日後、予想せぬ出来事がおきた。