私は最悪な人間だ…。
一番言わなきゃいけない事を彼氏に言ってない…。
私はあと10年もしたら死ぬ。
下手したら…もっと早く…。
それなのにずっと一緒にいるよって彼氏に言っている…。
最低だょなぁ…どうやって打ち明けよう…嫌われないかな…
あなたは水のなかで目をいっぱいに開き、世界を見あげたことがありますか?
ゆらゆらと揺れる透明なスクリーン越しに。
もしかしたらあの世から見ると、今生きてる世界はこんなふうに見えるんじゃないかな?
ねぇ…。
ものすごくきれいで、光にあふれていて、すべてがちょっとずつ歪んだ世界。
生と死を分けるのは、薄っぺらな水のおもてだけ。
あの水の鏡一枚。
水面に顔を浸す。
あたしは死ぬ。
滴をたらして顔をあげる。
あたしはまだ生きている。
その繰り返しですぎていく初夏の午後。
「ねぇ、ねぇ。聞いて。」