きみのうた 7

花蓮  2006-02-28投稿
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待ち合わせ時間から遅れること20分。
ようやくあの男が現れた。
『送れてごめん』の一言もなく、「じゃ行きましょう。」と一言。
何だか納得いかぬまま、彼について行った。表通りにある、美術館に連れていってくれた。そこには素敵な絵画がたくさんあり、見るもの全てが新鮮だった。
絵画を見る彼の目はきらきらと輝いていた。

その後、近くの公園で話しをした。まともに話すのは今日が初めてで少し緊張したが、普通に話しができたように思う。
そして、私がどうしても聞きたかった事を聞いてみた。「あんな失礼な事したのに、どうして私とのお話を受けたんですか?」
彼は少し困った顔をし、こう答えた。
「もう一度、あなたに会いたいって思ったからです。」
そのストレートな言葉に私は胸がドキッとした。私は何も言えず黙ったままだった。
「俺、無愛想でしょ。無表情だし、意地っ張りだし、すぐ怒るし、冷たいし意地悪だし。俺、最悪なんです。この前もあなたに不快な思いをさせました。ごめんなさい。正直、あのお見合いは親が勝手に決めたんです。はじめは全くその気がなかったので、やめようと思ったんです。でも、あの時あなたに会って気持ちが変わったというか‥俺は、結婚を前提として真剣にあなたと付き合いたいって思っています‥あなたの返事聞かせて下さい。」

口から心臓が飛び出るとはこの事であろうか。
びっくりした。
私が散々、嫌いな人だとか最悪だと言っていた人は、実は正直でとても素直な人だった。

私は「少し考えさせて下さい。」と告げ、その場から立ち去ってしまった。



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