「緑の国の若き戦士よ…よく来ましたね。」
蛇は、心地よい風のような優しい声で言った。
「若者よ、あなたはヘブネの平原へ向かっているのですね?」
「はい…しかしなぜそれを…」
「平原までの道のりは長く険しいものです。まずはここから南にある火の山へ…ヘブネを守る火の精霊“ボルク”があなたを導くでしょう…」
「あなたは…」
「私は虹の精霊“ユパ”…順番さえ守れば精霊達はあなたを迎え入れます…」
そう言い残し、ユパは再び泉へと消えていった。ネオは水の波紋が消えるのを待ち、虹の泉を後に、遙か南の火の山を目指した。
泉から十里ほど走ると、霧の立ちこめる薄暗い森の奥に、死者の眠る墓地が不気味に浮かび上がった…
ネオは馬を止め、導かれるようにその墓地に足を踏み入れた。
墓地の中は昼間だというのに真っ暗で、ネオの足音だけが不気味に響いた…
墓地を進んでいくと、突然足が石のように重くなり、ネオは身動きが取れなくなってしまった。
驚きながらも、目を凝らして足元をよく見ると、なんと無数の透明な手が彼の足首を掴んでいるではないか。