6月上旬
退院当日の土曜日
天気…曇り
-高梁家-
AM9:00
(今日は美樹を迎えに行ったら…まずは進路の事話さなきゃ。ハッキリと美樹のせいじゃないことを言わないと…)
病院まではバスで30分弱。まだ余裕がある。部屋の掃除、昼食の買いだし…は終わった。あとは迎えに行くだけか…
一息ついてダラダラと時間を待っていると、一本の電話がなった。
『はい、もしもし高梁ですけど。』
『あっ、コウちゃん!?』
『あっ、咲さん。予定通りに10時にはそちらに迎えに行くんでー』
『違うの!!居なくなっちゃったのよ。美樹ちゃんが!!』
『えっ…どういうことですか!?…美樹が居なくなったって!!』
『さっき最後の検温に行ったらベッドの上から消えてたのよ!!…他の患者さん達は見てないって言うし…病院中捜しても見あたらないのよ!!』
『…俺、の…せいだ…』
『えっ??』
『咲さんはそのまま病院周辺を探してください!!俺は美樹の行きそうな場所を捜します!!』
『わかった。ユキにも連絡して捜させるわ。』
『ありがとうございます。』
受話器を下ろして家を飛び出し、自転車に飛び乗った。
美樹の行きそうな場所…よく考えてみればそんな場所見当もつかない。
とりあえず、人の集まる商店街まで行くことにした。
雲はどんどん深みを増して、今にも降り出しそうだった。
5分位経っただろうか、息を切らしながらやっとのことで商店街にたどり着いた。
しかし、天気の影響か、商店街の人影はまばらだった。それでも俺は必死に妹を捜して、商店街を自転車を押しながら歩き回った。
『あっ高梁くーん!!』
後ろから声を掛けられた。美樹じゃないが聞き覚えがある声だ。
『偶然だね。傘も持たないでどうしたの?』
泉水沙織(イズミサオリ)クラスメート 学級委員
『あっ泉水さん。』
彼女は大きな買い物袋を持って立っていた。
彼女は俺に妹がいることさえ知らない。わざわざ巻き込む事も無い。適当にあしらおう。
『買い物?エラいね。でも今急いでるからっじゃ!!』
『えっ!?あっじゃあね。』
あまりにも不自然で彼女はキョトンとしていた。でも、そんなの関係なしに先を急いだ。
しばらくして商店街を一通り回ったが美樹は居なかった。
遂に雨も降り出してしまった…