響子は藤川の言葉に少し興味を持った。
「えっ?マジですか?この事件の時って私まだ小学生だったから余り記憶にないけど…あの頃学校行く時に親が付き添ってて、お母さんと一緒に学校行ってた…。この事件が あったからなんだわ…。 ねぇ店長、どんな事件だったんですか?教えて下さい!」
「う…うん、この事件は僕がまだ新米の頃の話で昔の店長と ある女が不倫関係の縺れから壮絶な殺人事件に なってしまった…。 その殺人現場が ここの店だったんだよ…。その女が少し変わっていて、店長の目玉を何度も何度も つついていたんだ…」
藤川はブルブルと震えていた。
「何て名前ですか?その女?テレビで名前出すとか、出さないとか じれったいですよね?店長その時に居たんですよね?教えて下さい!大丈夫ですよ誰にも言いませんから、それに さっきの刑事さんがもう捕まえてくれてますよ。ねっ教えて下さい!それとも 余りの怖さに名前忘れちゃったとか?」
響子は少し意地悪そうな顔をして藤川に近付いた。
「わ…忘れる訳ないよ今でも あの恐ろしい目と笑い声が頭の中で鳴り響いてるよ。 あの女…
暗闇の女……
そう……
忘れもしない。
黒田…のり子 … 誰もが恐れた暗闇の…女…」?
「……。」
二人は黙り込んだ。
静まり返った店長室はテレビの音だけが鳴り響き、外からは夜風がバタバタと窓を叩いていた…。