由香が振り返ると鏡の向こうにもう一人の自分が鏡の前でうつ伏せに倒れているのが見えた。
あたし…死ぬの?
いや…!
由香は首を振った。
「彩、あたし…死にたくない!!」
その時、由香の身体がグイッと鏡の外に引き戻された。
振り返った由香が見たのはあの雨の朝に見た美しい銀髪だった。
「あ…なた、え…?どうして?」
由香が状況を把握できないでオロオロしていると
銀髪の青年は休む間もなく、更衣室内にあった椅子を振り上げて鏡に叩きつけた。
ガシャーン!!
鏡は音を立てて散った。
鏡に浮かんでいた彩の姿が粉々になって、そして見えなくなった。
「ああっ、あやーっ!」
「…ここから出るぞ。お前は二度とここには近寄るな。」
放心状態の由香は半ば強引に青年に手を引かれて更衣室の外に出た。