MURASAME

あいじ  2007-06-14投稿
閲覧数[491] 良い投票[0] 悪い投票[0]

鬼門?

大地が震え、風が変わった。闇は恐れを含む常闇へと変わり、災厄の宴が始まろうとしていた。
「き…鬼門が開く…!」
蔵王丸が絶句する。流石に可王も戸惑いを隠せずにいた。
「やはりこの娘…現幽心か。現世と常世を行き来する神の迷い…まさか鬼門を開かせるとは…」
砂羽が頭を押さえその場に倒れ込む。その表情は恐怖と苦痛に満ちていた。
「砂羽…?」
「やだ…やだ…死んじゃやだ…こうじいなくなっちゃやだ……」
耳をつんざく叫びが闇に響いた。それと同時に鬼門の扉が轟音を上げ開いた。
「ここに…神の心が…」
可王が鬼門に向かって駆け出した。周辺には凶々しい障気が溢れ、鬼門周囲の木は枯れ、命あった生物は死に絶えた。
そして、鬼門から巨大な剛腕が姿を現した。巨腕は可王を掴むと満身の力を込め握り締めた。
「があぁ!こいつは…違う!」
やがて巨腕は鬼門ごと破壊し外へ降臨した。山のような巨大な体躯、筋骨隆々とした赤い肉体、額の角、その姿はさながら地獄の鬼そのものだった。
「そうか…何百年と封印された穢れが凝り固まり鬼となったのか…」
鬼は可王を大地へ叩きつけると怒りの唸りを上げ、吼えた。その声に風はさけ、木々が倒れた。
「ぐぅぅ…まさか鬼が…」
鬼は可王を狙いその巨腕を振るった。可王は飛ぶようなスピードで腕をかわし続けた。
「何故だ…鬼は穢れの塊…何故俺だけを狙う…まさか」
可王は腕を避けると砂羽に向かって飛びかかった。
「砂羽!」
幸司が羅喉を振りかざすが逆に吹き飛ばされた。可王は砂羽の首を掴みそのまま力を込めた。
「う…ああ…」
砂羽が苦しそうにもがいた。
「お前が…お前の想念が鬼を動かしている。お前さえ死ねば…!」
可王がさらに力を込めた。だが、一陣の風が吹いたかと思うと可王の腕が真ん中から切断され、宙を舞った。
「なんだと…」
可王が目を向けると幸司と砂羽の前に僧侶の姿をした影が現れた。
「何奴…!」
「俺は…薬師院大光明だ」



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 あいじ 」さんの小説

もっと見る

ホラーの新着小説

もっと見る

[PR]
オーガニックハーブで
女子力UP↑↑


▲ページトップ