婦人から受け取った写真を見て愕然とした。
「み、みゆき!?なぜ?」
そこに写っていたのは、ほんの数ヶ月前まで毎週決まって必ず水曜日にお店に同伴し、ラストまでいた線の太い客だった。
「しかし…どうして?」
頭が混乱していた。
なぜ…ここで深雪(みゆき)の写真を見せられているのか訳がわからなかったからだ。
「私の…娘よ…。」
驚愕の事実だった…。
ホストをリタイアし、店を後にしてから疎遠になってしまったが、深雪は毎月200万以上落としてゆく量客だった事に、間違いはない。
それが…。
思い返せば俺が退店する一ヶ月前から、パタリと姿が見えなくなり携帯も解約されアナウンスだけが流れていた。
己れの体調不良もあって、然程気にも止めていなかったが、今思えば蒸発?…もしくは失踪?
考えられなくもない。
しかし…完全に俺を求愛した深雪のあの態度からは、失踪はあり得ないだろう。ならば、何らかの事件に巻き込まれた可能性もある。
「お嬢さんは…今…何処でなにを?」
やっとの思いで口から出た疑問だった…。
しばらく俯いていた婦人は、ゆっくりと顔を上げ、唇を振るわせながら正確な口調で語り始めた。
「娘は…娘は…先日亡くなりました。」
その言葉を理解するまでに、頭の中を何度も何度も頭痛の様に繰り返しセリフが巡っていた…。vol.13に続く