人はドコから生まれたの?
それは、近くて遠い
世界にまだ天と悪しかない時代。
決して理解などしあえない
この2つの種は
一体いつから混同してしまったのだろう?
それは、確にあの時だった─
HELL ≠ HEAVEN
『はなせっ!やめろっ、近づくなっ!!!』
─神よ、どうか非力な私を許してください。
『いやよっ!来ないでっ!!!』
『恥を知れアスラっ!!貴様は天界最大の緊忌を犯したのだぞ、見苦しい真似はよせ!』
─かつて、至高の存在と敬られたその人は、今はただ咎人として憐れな姿を私に見せている。
『お願いだからっ、』
─咎人?彼女がいったいどれ程の罪を犯したというのだろう?
『…お願いします』
─裏切り?殺し?いや、そんな事するような方ではない。
それは皆が知っている事じゃないか。そう、今だって
『殺さないで…』
─彼女のその燃えるような美しい瞳に、過ちを犯した色など無いことを。
『生かしてはおけぬ。存在してはいけないのだ。』
─そう、彼女は何も罪など侵していない。
『生まれた命に罪はないといったじゃないっ!』
『誓いはどうした、アスラ!』
『!!?誓いなど…』
─だって、彼女は
『天使が悪魔の子を孕んではならない』
『天使と悪魔の血を合わせ持つモノを産んではならない』
─愛するものの子を体に宿し、母親になっただけなのだから。
序章 END