好きな人ができた。
傍にいたいと思った。大切にしたいと思った。だから…。
友達でいようと決めた。
毎日の電話。
夜中のドライブ。
休日の遠出。
一緒に過ごす時間が多くなっていった。
寒い日は、上着を貸してくれた。彼の温もりが伝わって、心が暖かくなった。嬉しくて、恥ずかしくて笑顔になる顔を隠した…。
平坦な道でも躓く私の手を握ってくれた。
彼に触れられる幸せを感じた。このまま時が止まればいいのにと願った。
彼と話せること。
笑顔が見れること。
同じ時間を過ごせること。傍にいる温もりを感じられること。
当たり前の時間が幸せだった。
彼と離れる勇気がなかった。
彼を失う辛さを感じたくなかった。
だから友達でいようと決めたのに…。
彼への気持ちは変わらなかった。好きだった。大好きだった。
彼は私に言った。
『好きな子ができた。どうすればいいかなぁ』私は笑顔で答えた。『告白しちゃいなよ!大丈夫、きっとうまくいくから!』
私じゃない子に見せる彼の笑顔を見たくなかった。誰かを想って、悩む彼の姿が辛かった。
彼に出逢って恋をした。会えないこと、笑顔が見れないこと。声が聞けないこと。私を見てくれないこと。
全てが辛かった。
でも、前に進みたかった。だから、彼から卒業することにした。
さよならは言わなかった。いつか、友達として出逢える日が来ることを信じて…。