”ある場所”
とは何処までも高く続く赤い空の遥か天空にあった。
何か巨大な塊が浮いてるのが遠目にも解る。
『あそこだ。小僧』
『なんだ…あれ…建物が浮いている?』
空に浮いてる塊。
それは紛れもない石造りの浮遊する建造物だった。
『源力も何もないで浮いてるなんて…』
リリーナが身を乗り出す。
『レグナ、あれはなんだ?』
『そうだな…強して言えば、我ら竜族の墓場よ。』
菱形をした建物に入口みたいな大きな穴が見えた。
それは竜一匹は容易に入れるほどだとアインは悟った。
レグナの翼に迷いがないからだ。
ただその入口を目指し飛行している。
何か尋ねようとマナへ視線を落としたが彼女は腕の中でいつの間にか眠ってしまっていた。
そしてレグナの異変にも気付いた。
『レグナ…お前の体…黒くなってないか?』
レグナの鱗は蒼かったはず と思い返す。
『我々、神竜族は然る時に然かるべき変化をする』
アインはレグナな淡々と言う口振りに違和感を少し覚えた。
変わっているのは色だけじゃなかったのだ、レグナの角、翼の形、尻尾…
角は悪魔を思わせるような不自然に曲がっている。
翼には至る所に刺々しい刃のような爪が。
尻尾は貫く為にあるような形をしている。
その全てが毒々しく感じられた。
確認済みなのか、リリーナは不穏な表情を浮かべている。
『着いたぞ。中へ入る。
考えを掻き消すレグナの声が響く。
『ここに…世界を救う”答え”があるんだな?』
『全ては血の記憶が導いてくれる。準備はよいな?小僧』
『ああ』
アイン達を乗せたレグナは浮遊する建物の中へ入った。