「ここに眠るのは我がムラサメ一族とその家来達…遙か東の地から“ある物”を求めてこの地を訪れた…しかし…求めた物を手に入れ故郷への帰路の途中、我々はこの森で…“黒き勇者”によって皆殺しにされてしまった…情けない話よ……」
キハチは立ち上がり、ネオの正面に立った。
「若者よ…拙者の、いや、我が一族の頼みを聞いてくれぬか…」
「…しかし私には王より与えられた使命が…」
ネオは視線を落とした。できれば力になりたいが、寄り道をするわけにはいかない。
「もしや…火の山に向かっているのでは?」
ネオは視線をキハチの目に戻した。
「そうだ…火の精霊の元へ向かっている…」
その言葉を聞くと、今度はキハチが視線を落とした…
「火の精霊…彼はもういない…」
「なんだって!?」
ネオは思わず叫んでしまった。
「黒き勇者は、我々一族の求めた“闇の宝玉”を奪った後、火の精霊を殺し、火の山を乗っ取ってしまったのだ…」
キハチの口から衝撃の事実を聞かされ、ネオはしばし言葉を失ってしまった…